ごあいさつ

 どうしてこんなことを始めたのですか?とたまに人に尋ねられるのですが、いつの間にか・・・なんとなく・・・と言葉につまり、自分でも今こうして個展を開いていること自体、なにか不思議な気がします。

 人形が好きか、と考えれば、そういえば子供時代にリカちゃんで遊んだことを思い出す程度ですし、友人の俳句や小説をテーマにアイディアを練ることが多いので本は読みますが、それでも本の虫、といったことはありません。

写真にいたっては機械オンチで手当たり次第にシャッターを押すという、鉄砲も数撃ちゃ当たるのスタイル。

ただこうやって、娘が小さかった頃に一緒に粘土を手にして以来、自分の面白いと感じることを積み重ねてきました。

 人の形にすぎない人形ですが、沈黙が生み出す言葉や情感、写真によって切り取られるストーリーが私には魅力です。

ひとりでいるにせよ、誰かといるにせよ、考えたり感じたりすることを止められない人間という生き物のさまざまな状態を、いま在る場所や時代を背景に表現してゆきたいと思っています。

それは転勤暮らしの我が身にとっては、自身の痕跡を記録するといった作業に近いものなのかもしれません。

丁度ヒロシマというこの町が過去を記憶し続けようとするような。

これまで支えて下さったたくさんの人へ感謝をこめて

中田 淳子

2009年9月15日